日本の技能実習制度は、外国人労働者に日本の技術を学び、それを母国に持ち帰ることで国際貢献を目指すものですが、近年、技能実習生の失踪が増加し、特にミャンマー人の失踪が顕著になっています。
そこで本記事では、ミャンマー人技能実習生の失踪問題の背景と、その対策としても注目される特定技能ビザについて解説します。
また、登録支援機関が提供するサービスについて簡単にご紹介し、企業と外国人労働者の橋渡しを支援する重要性についても解説します。
技能実習制度について
技能実習制度は、日本の技術や技能を発展途上国の若者に提供し、それを母国に持ち帰ってもらうことで国際貢献を目指す制度です。
実習生は最大で5年間、日本国内の企業で働きながら技能を習得します。しかし、実態は就労ビザのような扱いになっており、現場での過酷な労働条件や低賃金が問題視されています。
特に、この制度は技能実習生が転職できない仕組みになっているため、労働環境が悪いと感じても逃げ場がないことが失踪の一因となっています。
【最新】技能実習生の失踪者数
出入国在留管理庁では、技能実習生の失踪者数について公表しています。
以下は、平成25年~令和4年までの失踪者数推移です。
出典:出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数の推移」(平成25年~令和4年)
この表を見ると、中国のみ失踪者数は減少傾向にありますが、その他の国については増加傾向にあります。
海外では、日本の技能実習制度は「現代の奴隷制度」と強く批判されてきたこともあり、以前と比べて環境は大きく改善されてきましたが、それでもまだ失踪者は増え続けているのが現状です。
ミャンマー人技能実習生の失踪が増えている理由
冒頭でお伝えしましたが、近年はミャンマー人の失踪が特に顕著になってきています。
そこで以下では、その背景(理由)について詳しく解説します。
ミャンマー人の失踪者数
もう一度、先ほどの失踪者数(ミャンマー)の推移を見てみます。
出典:出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数の推移」(平成25年~令和4年)
この調査によると、ミャンマー人技能実習生の失踪者数は平成25年以降急増しており、令和3年には400人、令和4年には600人に達しています。
技能実習生全体の中でもミャンマー人の失踪割合が増えてきており、この調査にはない令和5年、令和6年においてもミャンマー人の失踪が多いという声はよく聞きます。
失踪の背景
では、ミャンマー人失踪者が増えている理由はどこにあるのでしょうか。
言語の壁と職場環境
ミャンマーから来た技能実習生は、日本語の理解が不十分な場合が多く、職場でのコミュニケーションが困難な場合があります。
これが原因で職場でのトラブルが増え、転職もできないため失踪に至るケースが多いようです。
ミャンマーの情勢
軍事クーデターによりミャンマーの国内状況が悪化しているため、帰国する選択肢がないことも失踪の原因の一つです。
特に、後述する「特定活動ビザ」を申請して日本に留まろうとする動きが見られます。
特定活動ビザへの切り替え
特定活動ビザは、ミャンマーの情勢悪化を背景に、日本に留まるための手段として利用されています。このビザは半年から1年の在留期間を認め、就労も可能です。
また、このビザで就労可能な分野/企業も多いため、技能実習生として働くよりもお金を稼ぐことができます。これにより、帰国が困難な技能実習生が日本に留まる手段として特定活動ビザが選択されています。
ただし、特定活動ビザでは基本的に1年以上の長期滞在ができないため、いずれにせよ帰国するか、後述する「特定技能ビザ」に切り替える人も増えています。
今後は特定技能が外国人雇用の中心に
現在日本では、外国人労働者の受け入れにおいて「特定技能制度(最大5年間の就労ビザ)」の活用が急速に進んでおり、技能実習制度は今後廃止され、新しく「育成就労制度」に生まれ変わります。
この育成就労制度も、在留期間満了後に特定技能制度にスムーズに移行するためのものとなり、今後は特定技能が外国人雇用の中心になっていくはずです。
2024年3月には、特定技能外国人の受け入れ枠の上限数や産業分野および業務の新規追加が閣議決定され、今後さらに在留数も増加見込みです。
日本の人手不足は今後より深刻になっていくことが予想され、特定技能外国人の活用は待ったなしの状況です。
しかし、特定技能外国人の採用には手続きなど含め半年前後は時間を要するため、採用計画はできるだけ早めに立てておくことをおすすめします。
🔽新設される育成就労制度の詳細については、以下の記事もご参考ください。
【2024年4月最新】育成就労制度の新設と技能実習制度の廃止について
🔽特定技能制度の詳細や最新情報については、以下の記事もご参考ください。
【2024年4月最新】82万人へ大幅拡大!特定技能の対象に4分野を追加
特定技能ミャンマー人の在留数
特定技能ビザで日本に在留するミャンマー人は2023年12月末時点で11,873人となっており、ベトナム・インドネシア・フィリピン・中国に次いで国内では5番目に多い国となっています。
また、産業分野別に見ると、介護分野の割合が高い点がミャンマー市場の特徴です。全体の11,873人に対して介護分野で働く特定技能ミャンマー人は4,730人となっており、全体の約40%を占めています。
介護分野での在留数に限ると、ミャンマーはベトナム・インドネシアに次いで国内で3番目に多くなっています。
出典元:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(2023年12月末時点)
特定技能ミャンマー人の採用は登録支援機関を活用
ミャンマーの若い労働力を求め、日本企業の採用活動も近年活発化してきています。
しかし、特定技能ミャンマー人の受け入れに際して、日本語教育や文化研修、定期的なフィードバックや支援、教育プログラムの実施など、すべてを受け入れ企業側が実施することは簡単ではありません。
そんな時は、人事業務や一部の支援業務(定期面談や生活のサポートなど)を日本の登録支援機関に委託するのも一つの選択肢です。また、委託する際はミャンマーに強い登録支援機関を活用することで、よりスムーズな受け入れを可能にすることはもちろん、蓄積されたマネジメントノウハウの共有などを受けることも可能です。
特定技能人材の紹介/支援に強い登録支援機関「Funtoco」
特定技能人材の紹介および支援が可能な「登録支援機関」である弊社「Funtoco」では、累計1,400名以上の特定技能外国人を企業様にご紹介、ご支援してきました。
圧倒的に高い人材定着率が強みで、Funtocoが紹介する特定技能外国人の企業定着率は全業種平均で85%以上、介護分野にいたっては90%以上となっています。
社員の半分近くを多国籍な外国人で占めており、紹介した人材や支援委託を受けた人材の支援を母国語で行える点も強みです。特に、介護人材や外食人材の紹介を得意としており、「ミャンマー」「ネパール」「インドネシア」の人材紹介に強い点も特徴です。
また、日本で初めてミャンマー人の特定技能ビザを介護分野・外食分野で取得したのもFuntocoです。
特定技能ミャンマー人を採用したい企業様や、採用したミャンマー人材の支援・サポートに手が回っていないという企業様は、ぜひFuntocoにお任せください。