日本の技能実習制度は、発展途上国の若者に日本の技術を習得させることで国際貢献を目指すものですが、その一方で多くの問題を抱えています。

 

特に、海外現地の送り出し機関と仲介ブローカーの関係が実習生に多大な負担を強いている現状があります。

 

そこで本記事では、技能実習制度の実態やマイナス面について深掘りし、特定技能制度との比較も行います。

 

また、現行の技能実習制度は廃止され、新しい制度に生まれ変わることが閣議決定されたため、その点についても詳しく解説していきます。

技能実習制度の現状

技能実習制度は、日本の技術や技能を発展途上国の若者に提供し、それを母国に持ち帰ってもらうことで国際貢献を目指す制度です。

 

実習生は最大で5年間、日本国内の企業で働きながら技能を習得します。しかし、実習生は労働市場の一員でもあり、現場での過酷な労働条件や低賃金が問題視されてきました。

 

以前よりも状況は改善されましたが、技能実習生が転職できない制度であることは変わりなく、逃げ場がないことで失踪してしまう実習生も未だに多いのが現状です。

 

 

上記の表を見ると、失踪者数は減少傾向になく、増加傾向にあることがわかります。

ブローカー仲介料の実態について

 

厚生労働省の実態調査によると、日本に派遣される外国人技能実習生の約6割が「個人の仲介」で集められています。

 

この中には、高額の仲介料を要求する悪質ブローカーも含まれており、実習生が支払う手数料が高騰する一因となっています。

厚生労働省の調査内容

この調査は、2023年8月から12月にかけてベトナム、インドネシア、フィリピン、中国、カンボジアの5カ国で実施されました。

 

186の海外現地送り出し機関がアンケートに回答し、36機関に対し実習生から受け取る手数料ブローカーの実態について現地でヒアリングを行いました。

高額仲介料の実態

アンケート結果によると、実習生を集める方法として「自社で募集」が89%で最多でしたが、「個人の仲介」が58%と高い割合を占めました。

 

ブローカーが実習生に高額の仲介料を要求し、その結果、実習生が支払う手数料が高騰しています。

 

例えば、ベトナムの送り出し機関の担当者は、ブローカーから1人あたり14万円程度の謝礼を求められることが多いと証言しています。

ブローカーが実習生に与える影響

ブローカーが要求する高額な仲介料は、最終的に実習生が負担することになります。

 

この経済的負担は実習生にとって大きなプレッシャーとなり、結果的に彼らの生活や労働環境に悪影響を及ぼしています。

 

多額の借金を抱えて来日する実習生も少なくなく、プレッシャーから失踪してしまうケースもあります。

制度の問題点と改善の必要性

 

技能実習制度には、仲介ブローカー以外にも多くの問題点があります。特に、労働条件の過酷さや言語の壁、文化の違いなどが実習生にとって大きな障害となっています。

労働条件の過酷さ

全てではありませんが、多くの実習生が過酷な労働条件の下で働いているのも事実です。

 

長時間労働や低賃金が一般的であり、これが実習生の不満を引き起こす要因となっています。

言語の壁と文化の違い

実習生の多くは、後述する特定技能外国人と比べても日本語の理解が不十分であり、職場でのコミュニケーションに困難を抱えています。

 

また、文化の違いから生じるトラブルも多く、これが原因で失踪するケースも少なくありません。

 

以上のように、技能実習制度には改善すべき点が多く、実態に即して適正な制度に変えていく必要があります

現行の技能実習制度は廃止に

 

技能実習制度の見直しにおいては、2022年から有識者会議が何度も開かれ、議論が進んでいました。

 

そして2024年3月15日に、技能実習制度の廃止および「育成就労制度」の新設における法案が閣議決定されました。

 

育成就労制度の目的については、「人材育成」および「人材確保」を目的とする制度であることが明言され、実態に即した制度への変更となります。

本人の意向による転籍(転職)が可能に

育成就労制度では、「やむを得ない事情がある場合」の転籍に加えて、就労期間が1年を超えているなどの条件を満たしていれば、本人の意向による転籍も認められるようになる見込みです。

 

その場合の日本語・技能の能力をどこまで求めるかなど、細かい論点については未確定の部分が多いですが、これにより人権問題や失踪問題の解決が進むことが期待できます。

必要な日本語能力について

育成就労制度は、前提として後述する特定技能制度への移行を目指すものであり、以下のように日本語能力の要件があります。

 

就労前:日本語能力試験N5等合格または相当講習の受講

特定技能1号に移行する場合:日本語能力試験N4等合格

特定技能2号に移行する場合:日本語能力試験N3等合格

 

特定技能へ移行する場合は、これに加えて技能検定や特定技能評価試験の合格も必要になる想定で、細かい詳細はこれから決められていきます。

特定技能制度が今後の外国人採用のトレンドに

特定技能制度は、特定の分野で即戦力として働ける外国人労働者を受け入れるための新しい制度(就労ビザ)です。

 

特定技能制度の対象となる産業分野は以下12分野で、特に人手不足が深刻な業界で積極的に活用されています。

 

 

以下は、特定技能制度で日本に在留する外国人数の伸びを表したグラフです。

 

 

 

2019年4月に制度がスタートし、2020年以降コロナ禍が収まってから、毎月急激に在留人数が伸びていることがわかります。

 

また、以下のグラフは各産業分野の在留人数および割合をまとめたものです。

 

 

 

日本政府も制度の普及に力を入れており、今後は特定技能制度が企業の外国人採用のトレンドになっていくことが想定されます。

優秀な特定技能外国人を採用する方法

 

優秀な特定技能外国人を採用するには、経験豊富な登録支援機関を活用することが効果的です。登録支援機関では、適切な人材のマッチング、ビザ申請手続き、入国対応、受け入れ後の教育や生活支援、定期面談、トラブル対応など、包括的な支援を行なっています。

 

この全てを自社で行うことも可能ですが、初めて特定技能外国人を採用する場合は登録支援機関をまず利用する場合がほとんどです。

 

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特定技能外国人の紹介に特化する「Funtoco」

 

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