EPA介護福祉士とは

EPA介護福祉士候補者とは、インドネシア、フィリピン、ベトナムとの経済連携協定に基づき、日本の介護施設で
就労・研修をしながら、介護福祉士の国家資格取得を目指す方々
のことを言います。現在は上記の3ヶ国から受け入れがなされています。

EPA介護福祉士受け入れ要件

それぞれ、EPA候補者の外国人と受け入れる施設に条件があります。
EPA候補者
インドネシアからの要件・ 日本語能力試験 N5程度以上に達している者
・ 入国前に6ヶ月間の日本語研修を終了している者
・高等教育機関卒業+インドネシア政府による介護士認定
フィリピンからの要件・ 日本語能力試験 N5程度以上に達している者のみ
・ 入国前に6ヶ月間の日本語研修を終了している者
・4年生大学卒業+フィリピン政府による介護士認定
ベトナムからの要件・ 日本語能力試験 N3以上合格者
・ 入国前に1年間の日本語研修を終了している者
・3年生又は4年生の看護過程終了
EPA受入施設
①定員30名以上の介護施設であること
②介護職員数(補者を除く)が法令に基づく配置基準を満たすこと
③常勤介護職員の4割以上が介護福祉士有資格者であること
④候補者に対して日本人と同等以上の報酬を支払うこと
⑤適切な研修体制を確保すること 等

EPA介護福祉士に受け入れの流れ

国によって、半年か1年間の日本語の事前の講習があります。

EPA介護福祉士の研修について

EPAの最大の目的は日本の介護施設での研修で、「介護福祉士」の国家資格を取得することです。
そのため、「就労」を目的とした、特定技能介護とは初日からの内容がまったく違います。

EPAの日本語研修機関等による訪日後の日本語等研修(2.5~6か月)
+介護施設での実習6ヶ月

の後に算定人数に含まれますので、
採用から実際に就労するまでに長い時間を費やすことになります。
そして、就労が始まってからも講習を受ける必要があります。
【EPAの来日後の研修時間の詳細】
オリエンテーション、一般日本語及び看護・介護専門日本語研修(675 時間程度)
日本社会・生活習慣の理解・適応研修(50時間程度)
職場への理解・適応研修(90 時間程度)
研修成果を図るテスト(2か月に最低 1 回は実施)
トータルで815時間も研修が必要…。
人材をすぐに必要としている介護施設様にとっては、研修にそこまでの時間と労力を費やすのは難しいかもしれません。
即戦力、スピード的にも特定技能が一番受け入れやすい在留資格かと思います。

EPA介護福祉士の現状

現在は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から、これまでに5,063名の受け入れをしています。(令和元年10月資料)

EPA介護福祉士の在留について

・資格取得前は最大4年間滞在が可能。
・滞在中の在留資格は「特定活動」。
・協定上定められた在留期間中に国家資格を取得できなかった者は帰国する。
・資格取得後は在留資格の更新回数の制限なし。

特定技能とEPAの違い

外国人の介護従事者を受入れるにしても、在留資格によって就業環境、範囲に差があります。
以下は、特定技能「介護」とEPAで外国人を受け入れた際の就労条件等の違いです。

介護報酬の算定人数
日本人は介護施設で働く際に就業開始初日から介護報酬の算定人数に含まれます。
つまり、仕事初日から仕事ができるできないに関係なく、1人の労働者として扱われます。
しかし、「EPA」できている方は資格取得が目的ですので、1人の労働者としてすぐに扱われません。
一方で特定技能で就労する方は、就業開始初日から算定人数に含まれます。
理由は、就業のためのビザだからです!

夜勤について
EPAのビザで、夜勤は可能です。しかし、
「介護福祉士候補者以外の介護職員を配置すること」
が義務付けられていますので、一人での就業はできません。

配置替えについて
就業場所が変更できるかできないかについてですが、
EPAの場合、就業場所の変更はできません。(閉業などのやむを得ない場合を除く)
特定技能の場合は届出を提出するだけで同じ法人内であれば簡単に就業場所の変更が可能です。

まとめ

今回の記事は、EPA「介護」についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
EPAは各国との経済連携協定によって始まった、介護人材の受け入れの形ですが、
受入施設がEPA外国人の国家資格取得に向けた研修を実施しながら、就労をしていただけなければいけません。
また、日本人と同等以上の報酬を支払う義務が施設には生じ、なかなか大規模の介護施設でなければ、運用が
難しい場合もあります。
加えて、4年間EPAで研修した外国人の介護福祉士の資格の取得率も、50%で、
そのなかでも1/3の外国人が資格を取得したにもかかわらず母国に帰ってしまうといった問題も現状あります。