受け入れ側(法人)準備資料編について(国内留学生・資格変更)〜

日本の深刻な人手不足に対応するため、2019年4月より始まった外国人の新在留資格「特定技能」です。
全14分野で、5年間で最大34万5千人を受け入れる計画だが、令和3年3月末時点で22,567人と、初年度の受け入れ想定の約5万人を大きく下回っている現状があり、 今も新型コロナウイルス感染症の影響を受け、来日できない外国人の方も続出しております。

こんな時だからこそ、我々にできることはないかと考え、弊社が取り組んでいる、特定技能の登録支援機関としての支援業務のノウハウを公開していきます!

業種やエリアなどのパターンは限定的ですが、これから申請を控えている受け入れ企業や登録支援機関、申請人の方々の参考になればと思います。

登録支援機関としての株式会社Funtoco

株式会社Funtocoは、登録支援機関として、企業や個人事業主の受け入れ側が特定技能として外国人を雇用する際に支援をしております。
登録支援機関の役割としての詳細はまた別途記載しますが、やることとしては特定技能外国人の受け入れに関するサポートです。

弊社では「特定技能ビザの申請サポート」と「登録支援機関の支援業務」の2つを行っております。

弊社の拠点が大阪のため、大阪入管での申請がメインですが、現時点で特定技能ビザでの申請数は150件以上あり、多くの方がすでに働き出しています。
特定技能の宿泊分野で第1号のビザを取得された方も弊社がサポートしており、外食分野の第1号の方も弊社が紹介をした方でした。

宿泊分野において在留資格「特定技能1号」への在留資格の変更が初めて許可されました!~宿泊分野において特定技能外国人が誕生~
特定技能ビザ取得実績として、分野別では、介護、外食、飲食料品製造、宿泊、農業の5分野があり、 属性別では、国内にいる留学生をメインとした特定技能試験合格者、海外にいる技能実習修了者、特定技能試験合格者のパターンがあります。

その中でも特定技能試験合格者の申請が90%以上のため、技能実習からの切り替えよりも特定技能試験合格者の申請の方が圧倒的に得意としております。

こうした限定的な実績ではありますが、今までの経験から、今回は大阪入管をメインとした国内留学生の特定技能試験に合格した方の在留資格変更許可申請のパターンで、 取得書類や作成書類、注意点など弊社が現時点で把握しているものを書いていこうと思います!
ちなみに作成書類は、登録支援機関が作成できないため、あくまで受け入れ側企業や申請人の方の書類を多く見てきた中での作成上の注意点になります。

特定技能ビザ 在留カード見本
実際に取得した1年の特定技能の在留カード

書類に関して

受け入れ企業側と申請人側それぞれ、「取得する書類」と「作成する書類」で分けて説明していきます!

取得書類に関して


また、受け入れ企業側も法人か個人事業主か、そして個人事業主の中でも健康保険・厚生年金保険の適用事業所か否かで、パターンがいくつかありますが、 今回はわかりやすくするために、法人での申請のパターンで書いていきます!

書類の一覧は法務省のページにある、 在留資格変更許可申請「特定技能」(すでに日本に在留している外国人の方で,特定技能への移行を希望している方)<法務省>のページ内にある「特定技能(1号)」への在留資格変更許可申請に係る提出書類一覧(法務省)をみてもらえればと思います。

取得も作成もそうですが、基本的には法務省が出している特定技能外国人受入れに関する運用要領を全て読んで進める必要があります。


必ず目を通す必要がありますが、全部で185ページあり、かなり重いのも事実です。
もちろん読んでいただくのは必須ですが、その中の書類に関してのポイントを押さえていければと思います。
登記事項証明書
取得場所:各法務局またはオンライン

こちらはシンプルに履歴事項全部証明書または登記事項証明書です。

注意点は、取得から3ヶ月以内のものではないといけないので、申請する日から3ヶ月以内のものであるかを申請前に確認しましょう。
基本的に入管に申請する書類は申請書の控えなどを除き、ほぼ全て取得から3ヶ月以内のものが必要になります。

※こちらの書類は過去3年以内の在留諸申請において提出済み、尚且つ提出から変更事項がない場合は提出が省略できます。
住民票の写し(業務執行に関与する役員)
取得場所:市区町村、コンビニ、郵送等

業務執行に関与する役員の方は住民票の写しが必要になります。
住民票は、マイナンバーの記載がないもので、本籍地の記載があるものが必要です。
組織図や事業部などで受け入れする特定技能外国人と業務上で関わりのある役員の方の分は提出した方が無難です。
ちなみに住民票の写しとありますが、各役所でもらうものがすでに写しのため、もらったもの原本の提出が必要になります。
弊社でも1度住民票の写しのコピーで申請をしてもらったところ、再提出となってしまいました。

※こちらの書類は過去3年以内の在留諸申請において提出済み、尚且つ提出から変更事項がない場合は提出が省略できます。
労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
取得場所:労働局(郵送)

この書類は、初めての特定技能外国人受け入れの際のみ必要なものです。
よくミスがある部分として、労働保険料“等”納付証明書(未納なし証明)であり、労働保険料納付証明書ではありません。

厚生労働省のフォーマットで記載して、申請が必要になります。


※こちらの書類は過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は省略できます。
労働保険の領収証書の写し(直近1年分)
取得場所:会社保管もしくは労働局

労働保険を支払いした領収証書になります。直近1年分になります。
もし控えがない場合は、各労働局へ問い合わせが必要になります。

※こちらの書類は過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は省略できます。
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書 (事業主控)の写し(領収証書に対応する分)
取得場所:会社保管もしくは労働局

労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の控えの写しになります。
もし控えがない場合は、各労働局へ問い合わせが必要になります。

※こちらの書類は既に特定技能外国人を受け入れている場合のみ提出が必要になります。
社会保険料納入状況照会回答票 または 健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し(在留諸申請日の属する月の前々月までの24か月分全て)
いずれかを提出
取得場所:年金事務所もしくは郵送で日本年金機構

上記のどちらかの提出が必要です。
申請等に関して下記のリンクをご確認ください。

健康保険・厚生年金保険料領収証書の写しの場合、提出月の2ヶ月前までのものが必要になります。
基本的に毎月20日くらいに前月分の領収書が届くため、提出時点でない場合は、申請後に追加資料として提出になります。


※こちらの書類は過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は省略できます。
税目を源泉所得税及び復興特別所得税,法人税,消費税及び地方消費税とする納税証明書
取得場所:税務署(オンラインまたは郵送)

税務署が発行する納税証明書のその3です。
源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税この3つの項目が全て含まれている必要があります。
その3の3などさらに細分化されたものもありますが、 特定技能ビザの申請で必要なものはその3ですので、ご注意をお願いします。
また、未納がないことが大原則ですので、未納分がある場合は納税完了後に証明書を発行する必要があります。

※こちらの書類は過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は省略できます。
税目を法人住民税とする納税証明書(前年度)
取得場所:市区町村(窓口または郵送)

各市町村が発行する法人住民税の納税証明書です。取得できる最新のものが必要です。
こちらも同じく未納なしである必要があります。

※こちらの書類は過去2年以内の在留諸申請において提出済みの場合は省略できます。
分野別の取得書類
宿泊:旅館業許可証(旅館・ホテル営業許可書)
外食:保健所長の営業許可証の写し

作成書類に関して

続いて、受け入れ側が作成すべき書類に関してです。
取得とは別に特定技能外国人受け入れに必須の書類になります。
作成書類はかなり多く感じるかもしれませんが、記載内容は法務省のHPにも例がありますので、そちらを参考にしてください。
今回はざっくり全体に関して記載いきます。別記事で詳細を記載している記事がございますので、詳しくみたい方はそちらをご確認ください。

なお、参考様式は法務省の下記ページにございます。


特定技能外国人の在留諸申請に係る 提出書類一覧・確認表
提出書類の一覧表・確認表です。
こちらだけ上記のページにはなく、在留資格変更許可申請のページにあります。

こちらに記載されている書類を全部集めて、申請をする流れです。
在留資格変更許可申請書 <別記第30号様式>
資格変更の申請書です。
この申請書に、これ以外で作成する書類の概要が記載されているイメージで、 その他の作成書類は、この申請書の詳細や補足をしているイメージでいていただければと思います。

こちらは申請人等作成用と所属機関等作成用に分かれており、受け入れ企業側が主に所属機関等作成用の5ページを作成しますが、 留学生の方自身が作成するのはハードルが高かったり、ミスがある可能性があるため、受け入れ企業の方や登録支援機関がサポートしているパターンがほとんどです。

所属機関等作成用の4ページの中でも細かな注意点がたくさんある書類です。
書かれている日本語がわかりづらい部分もあり、正直最初に見たときは拒絶反応が出るかもしれないですが、 中身を冷静に読み、運用要領と照らし合わせながら作成すれば、作成自体はできると思います。

しかし、慣れていないとややこしい部分があるため、運用要領を読んで理解して作成するかわかる方のサポートを受ける、または行政書士に依頼するというパターンもあります。
大事なポイントとしては、これ以外で作成する書類とズレがないことです。
また、所定労働時間数や月額報酬、雇用期間、業務区分などほぼ全ての部分が他の作成書類と紐づいているため、齟齬がないように注意が必要です。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
特定技能外国人の報酬に関する説明書 <参考様式第1-4号>
申請人と比較対象の日本人労働者がいる場合は、2の部分にその方の情報を記載、いない場合は3の部分に記載します。
飲食店などで、社員は店長のみなど特定技能外国人と業務内容が異なる場合は比較ができないため3に記載します。
また、賃金規程の有無で有に◯をした場合は、賃金規程の提出も必須となります。

この書類のポイントは、特定技能外国人の報酬は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上でないといけないルールがあるため、 こちらを証明することです。
比較対象が必ずしもいるわけではないので、その場合は3の部分に業務内容などにどのような差異があり、報酬が違うのかを記載する必要があります。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
特定技能雇用契約書の写し <参考様式第1-5号> (言語対応必要)
受け入れ企業と特定技能外国人の雇用契約書です。
従来の契約書と同じように2部作成し、原本は受け入れ企業と特定技能外国人でそれぞれ1部ずつ保管します。
入管への提出は、原本のコピーになります。

また、申請人が十分に理解できる言語での記載も必要な書類です。
明確な基準はないのですが、日本滞在歴が2年以上の方や日本語能力試験N2以上の方では日本語のみでも理解できる可能性はあります。
しかし、細かな部分などで齟齬がないように、言語対応をした書類の方がベターだと感じております。

申請人が十分に理解できる言語での記載が必要と言われている書類には書類名の横に(言語対応必要)と記載しております。
雇用条件書の写し <参考様式第1-6号> (言語対応必要)
受け入れ企業で企業作成の雇用条件書があるパターンがほとんどですが、 参考様式である全ての項目を満たす必要があるため、参考様式で作成をした方がベターなものです。

こちらが最も注意点が多く、1度申請してからも修正が必要とされているパターンが多い書類です。
こちらも別途詳細は記事にしますが、労働基準法の遵守やシフト制の勤務の場合の記載方法、深夜帯の勤務があるときの健康診断は半年に1度など、細かな注意点が多いです。

雇用条件書が雇い入れの基準になるため、入管も厳しく確認しています。
この書類のポイントは、労働基準法が遵守されており、雇用条件に問題がないか、という部分です。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
事前ガイダンスの確認書 <参考様式第1-7号> (言語対応必要)
申請前に必須となっている事前ガイダンスの確認書です。
事前ガイダンス自体は、登録支援機関に支援業務を委託している場合は、登録支援機関が担当します。 原則3時間以上となっております。
徴収費用の説明書 <参考様式第1-9号>
給料から税金、社会保険料、雇用保険料以外で、控除があるものに関して記載するものです。
まかない代の食費や会社寮の場合の家賃や光熱費など、給料から控除するものがあれば、全てこちらに記載します。

この書類のポイントは、給料から徴収する費用が全て記載されているかどうかです。
技能実習制度で、ごく一部の会社が不当に給料からお金を徴収していた事例などがあり、 入管としても厳しく確認しています。

また、四半期に1度の定期届出で賃金台帳の写しの提出が必要なため、そこで齟齬があると問題なるため、徴収する費用は全て記載する必要があります。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
特定技能所属機関概要書 <参考様式第1-11号>
受け入れ企業に関しての情報です。
住所は、登記簿に記載されている本籍の住所になります。
また、登録支援機関に支援業務を委託している場合は、支援責任者氏名の欄は記載不要です。
同様に、支援業務を委託している場合、2と4は記載不要です。

この書類のポイントは、受け入れ企業が受け入れの最低条件を満たしているかです。

支援体制がきちんとあるか。ない場合は、登録支援機関に委託をしているか。
また、同一業務に従事する労働者で、非自発的離職者(解雇等)がないか、特定技能や技能実習生で行方不明者が発生していないかなどが確認されます。

※こちらの書類は過去3年以内の在留諸申請において提出済み、尚且つ提出から変更事項がない場合は提出が省略できます。
特定技能所属機関の役員に関する誓約書(業務執行に関与しない役員がいる場合) <参考様式第1-23号>
役員の中で、業務執行に関与しない方は誓約書に名前を記載する必要があります。
直接業務で特定技能外国人に関わらない方は誓約書に名前を記載(PC入力でOK)する必要があります。

この書類のポイントは、住民票の写しを提出しない役員の中にも欠格事項がないかです。 そして、関与しない役員も特定技能外国人の受け入れを理解しているかどうかです。

※こちらの書類は過去3年以内の在留諸申請において提出済み、尚且つ提出から変更事項がない場合は提出が省略できます。
雇用の経緯に係る説明書 <参考様式第1-16号>
職業紹介事業者などを通じて、採用した場合はこちらの書類に情報を記載する必要があります。
直接の採用の場合は、「無」にチェックです。
また、特定技能外国人が支払った費用に関しても記載が必要です。
国内留学生からの切り替えは基本的にどこにも支払う費用がないため、0円となるものが基本だと思われます。

この書類のポイントは、特定技能が保証金の徴収や財産の管理又は違約金契約の締結を禁じているため、これらがないかどうか採用の際に経緯が明確になっているかです。 ライセンスを持たない職業紹介者や求職者から金銭の受理をして仕事を紹介するブローカーなどを介しての採用になっていないかです。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
1号特定技能外国人支援計画書 <参考様式第1-17号> (言語対応必要)
支援の計画書です。登録支援機関に支援を委託している場合は、実務は登録支援機関になります。

また、支援に関しては、法務省が出している、支援に係る要領別冊として、1号特定技能外国人支援に関する運用要領(法務省)があるので、こちらを確認していただければと思います。

支援に関する要領は29ページあり、支援の方法等について細かく記載されております。自社で受け入れ体制が十分でない場合は、登録支援機関に委託する方が間違えないかと思います。

この書類のポイントは、特定技能外国人の支援の体制、計画がきちんとできているかです。 ここがきちんとできていないと受け入れができないため、特に重要な書類です。

詳細はこちらの記事をご確認ください。
各分野別の誓約書
分野ごとにある誓約書です。誓約書通りですが、特定技能外国人の受け入れから4ヶ月以内に各協議会に加入する旨などが記載されています。
分野別の作成書類
介護:業務を行わせる事業所の概要書
介護分野では、従事できる業務が決まっているので、事業所が受け入れに問題がないかを確認する書類です。

そのほかの注意点など

これらは2021年7月時点での情報です。 特定技能の制度は新しい制度で、国も現状に合わせてどんどんルールを変更していっているため、 常に最新の情報で、最新の参考様式で書類を準備する必要があります。

常に最新の状態で書類を作成できるているかを確認しましょう。

まとめ

以上、ざっくりとしてでしたが、大阪入管をメインとした国内留学生の特定技能試験に合格した方の在留資格変更許可申請のパターンの、 受け入れ側の取得する書類と作成する書類に関してでした。

かなり量があるため、慣れないと工数がかかり、入管に提出しても修正が必要なパターンが多々あるかと思います。 限定的な情報ではありますが、これらの情報で少しでも特定技能外国人の受け入れが広まり、 日本で働きたい人が働ける環境ができ、外国人を雇用したい企業が雇用できる環境が広まればと思います。

もし弊社の認識に誤りがあったり、他の入管で、他の業種ではこんなパターンがあった、などがあればご連絡いただければ幸いです。 特定技能の制度が広まるように、様々なノウハウを共有していければと思います。

また、特定技能ビザの申請のサポートは弊社で可能なため、面倒だから任せたい、自分でやるのも心配だからサポートが欲しいなどがあれば、 登録支援機関の弊社にお気軽にご相談いただければと思います。

現時点での経験を踏まえて、上記をさらに簡素化した取得作成書類一覧の提示や書類作成上の細かな注意点から 実際の受け入れ時の支援や組織づくりに関してなどサポートできる部分が多々あるかと思います。

この記事ではお伝えしきれてない細かなポイントもまだまだありますので、登録支援機関にもし迷われている企業様があれば、ぜひお問い合わせいただければと思います。

また、特定技能ビザ必要書類一覧の資料も用意していますので、ぜひご活用いただければと思います。