事前ガイダンスとは

今回は、特定技能でのビザの申請前に必要な手続きとしての、事前ガイダンスに関してです。
1号特定技能外国人支援に関する運用要領という法務省が出している資料に詳細が記載されています。 別の記事取り上げた、 特定技能ビザ ノウハウ大公開 〜1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1-17号)であるように、1号特定技能外国人支援計画書に基づいて、ビザの申請前に契約内容や特定技能ビザのルール、特定技能ビザでできる活動等を説明する必要があり、これを事前ガイダンスと呼んでいます。
特定技能ビザを申請する際には必須の手続きとなります。

事前ガイダンスの方法・時期

事前ガイダンスは、対面又はテレビ電話もしくはその他の方法(WEBツール等)に実施する必要があり、文書の郵送やメールのみはNGとされています。 また、海外から来日前の実施に関して、現地の送り出し機関に委託することはNGとはされていませんが、適切な実施とみなされない可能性があるとも記載があるため、可能な限り、日本側の所属機関か支援委託している場合は登録支援機関が現地と協力の上で実施する必要があるでしょう。

事前ガイダンスは、1号特定技能外国人が十分に理解することができる言語による実施が求められています。明確な基準はないですが、国内留学生でN1やN2以外の方々は母国語での説明の方が、双方の認識のズレなどが起こりづらいと考えられます。

また、事前ガイダンスの時間としては3時間程度が適当とされています。1時間未満だと適切でないと判断される可能性があります。事前ガイダンス終了後は、特定技能ビザ申請書類でもある、事前ガイダンスの確認書(参考様式第1-7号)に実施日時と実施者の名前を記載し、特定技能外国人の署名が必要になります。

事前ガイダンスの10項目

事前ガイダンスで実施が必須なものに関しては10項目あります。それぞれを項目ごとにみていきます。
業務の内容、報酬の額その他の労働条件
全ての項目は大事なのですが、この項目は最重要です。
実際に従事する業務の内容、給料、労働条件に関してです。特に、試用期間や夜勤に関して、見込残業があるなど、海外の方で日本の労働条件等に馴染みがない方々にはきちんと理解ができるまで説明が必要です。また、就業開始時は、任せられる仕事が限られるため、手当などもつきづらく、特定技能外国人が思っていた給料と違うなどとなると後々トラブルとなる可能性があります。

また、海外からの場合で、現地の送り出し機関ときちんと連携が取れていないと、募集するために条件をよく見せていないケースなどもあるため、入社前に誤解がないように必ずお互いが納得できるまで説明が必要です。また、どのように給料が上がっていくかなどのキャリアアップに関しても事前に説明しておければ、双方にとっていい雇用関係が築けるでしょう。
活動内容
特定技能でできる活動内容に関してです。
業務の区分や制度の説明などを事前に理解してもらう必要があります。雇用側は業務区分がわかっていても実際に働く特定技能外国人からすると複雑なことまでは把握していません。事前に何ができて、何ができないのかを理解してもらう必要があります。
特に、留学ビザからの資格変更の場合は、資格外活動でアルバイトができないことや、退職時にきちんと契約終了の手続きをしてからでないと転職ができないことなどは必ず理解してもらう必要があります。
ビザ取得手続
海外からの場合は、在留資格認定証明書交付後3ヶ月以内に入国する必要があること(現在はコロナウイルスの関係で期限が変更されています。詳しくは出入国在留管理庁のHPから)、日本にいる場合は、在留資格変更許可申請を行い、在留資格の変更後に就業できることなどのビザ取得に関する説明です。
保証金などを支払わないこと
技能実習制度で問題となった部分で、早期退職をしたら違約金として、受け入れ企業や仲介会社が保証金からお金を受け取るということがないようにということです。これはあってはいけないことなのですが、過去に技能実習制度などでそのような事例があり、大きな問題となっていたため、特定技能では厳格にルールとして盛り込まれています。
送り出し機関などに支払う費用の内訳を理解していること
海外からの場合ですが、特定技能で出国するために現地の送り出し機関というライセンスを持っている企業を通すことが一般的です。そのため、送り出し機関に手続きの取次として費用を払う必要があるのですが、その内訳をきちんと理解している必要があります。ほとんどの国で、上限が決められており、ミャンマーなどは1,500ドルという規定があります。それ以上に払う必要もないですし、費用の内容も把握していて、こちらも問題になっていた技能実習制度で明るみになった費用を無駄に徴収するブローカーなどの介在がないか確認する必要があります。
支援費用は特定技能外国人が負担する必要がないこと
特定技能外国人の支援を登録支援機関などに委託する際に、委託費は受け入れ企業が負担する必要があり、特定技能外国人に負担させてはいけないというルールの説明です。
適切な住居の確保に関して
特に海外からの場合ですが、入国後に住む家に関して、場所、広さ、家賃などきちんと理解している必要があります。特に家賃に関しては理解が必要ですし、ルームシェアなどの場合は、同居する方々の情報や家賃の平等性なども必要になります。
相談先に関して
特定技能外国人を受け入れるために、特定技能外国人から相談や苦情等を申出を受け入れいる体制が必須であり、そのための方法や日時などの明確化です。
支援担当者氏名、連絡先
受け入れ企業か登録支援機関の支援担当者の情報を事前に提供する必要があります。

まとめ

今回は、事前ガイダンスに関してでしたが、いかがでしたでしょうか。
1号特定技能外国人支援計画書に沿って実施する必要がありますが、入国後や就業開始後にトラブルにならないように、事前に全ての説明をして、理解・合意をしてもらうことが大切です。本人が納得できない部分があれば、何度も説明する必要があります。事前に合意形成ができていれば、条件面でのトラブルが起こりづらくなリます。事前に理解しているか、誤解している部分がないかを何度も確認して、申請を進めていくくらい事前にやっておかないとトラブルになる可能性があるのが現状です。